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2018.09.20

オゾン治療の効果・椎間板ヘルニア

当院で実施したオゾン治療で良い効果がでた子の症例をご紹介します。
文章が少し長いですが(^_^;)
ご参考にしていただけたらと思います!!

 

 

診断名:椎間板ヘルニア

動物種:犬・ワイヤーダックスフンド

発症時年齢:4歳11ヶ月

名前:ゴン太くん

 

 

 

 

 

オゾンガスを皮下注射しているときの写真です。

経過:

4日前に突然ギャ~ンと鳴いた直後から起立不能となる。他院にて椎間板ヘルニアと診断され、手術適応の可能性の説明を受けた上で消炎鎮痛剤(非ステロイド系)を処方され投与していたが、排便も認めず後肢の麻痺も全く改善傾向を示さなかったため当院に来院されました。

 

ささみはたべるが、普段の食欲、元気はないとの事でした。

 

両側後肢のCP反応(神経の検査)の消失、後肢の麻痺、肛門反射の低下と深部の痛覚に対する反応も非常に鈍かった。

レントゲン検査では、第13胸椎と第1腰椎の椎間がせまく、第3-4腰椎、第12-13胸椎の椎間板軟骨の骨化を認めた。

血液検査では特に異常はなかった。

 

発症した背景、犬種、年齢、検査所見から当院でも椎間板ヘルニアの疑いが強い旨、飼い主様にお話をしました。

 

また、今回の責任病変(部位)が不明の為。専門病院でのMRI検査及び外科手術の相談、受診を勧め、飼い主様もそれに同意されました。

 

専門病院での予約が8日後に決まり、受診までの間、当院で実施している内科治療及びオゾン療法を提案したところ、飼い主様も同意、希望されたため、同日実施。専門病院受診まで内服薬を8日分処方しました。

 

【2016.8.12(1日目)】体重:5.7kg

<治療内容>

皮下補液100ml・高単位(用量)ビタミン(ビタミンB1、シアノコバラミン、ビタミンC)・強肝剤など、ステロイド、H2ブロッカー

オゾンガス皮下注射(背部)(オゾン療法Ⅰ/Ⅷ)

リハビリ(マッサージ、指圧など)指導

内服(8日分):プレドニン5mg(1日1回)、ノイロビタン(複合ビタミン剤)2錠(1日2回)、整腸剤・腸粘膜修復剤(軟便対処)

 

 

【2016.8.17(6日目)】体重:5.7kg

元気・食欲良好

専門病院予約受診日前だが、経過良好につきオゾン療法希望で来院されました。

ふらつきながらも少し腰が立つようになり前回の治療後、便の漏れもなくなり5日ぶりに普通便の排泄を認めた。

 

<処置>

オゾンガス皮下注射2回目を実施(オゾン療法Ⅱ/Ⅷ)

前回渡した内服の継続とリハビリ、マッサージ等をしっかり継続する様指示した。

 

予定通り専門医の受診を指示したがオゾン療法と内科治療の継続を希望され、専門病院の予約をキャンセルされました。

 

 

【2016.8.20(9日目)】体重:5.9kg

前回よりさらに一般状態の改善を認め、ふらつきながらも歩行可能となった。しかし、歩行中つまづき倒れる事も多く、食欲はあるが排便をしないのが気になるとの事であった。

 

<処置>

オゾンガス皮下注射3回目(オゾン療法Ⅲ/Ⅷ)

内服薬(8日分):プレドニン5mg(1日1回)、ノイロビタン(複合ビタミン剤)2錠(1日2回)を処方した。

 

引き続きリハビリの強化を指示した。

 

 

【2016.8.23(12日目)】体重:5.6kg

一般状態、歩行状態も改善傾向につき、内服は継続のまま週2回の通院(オゾンガス注腸)を指示した。

 

<処置>

オゾンガス注腸法(1回目)に変更実施した。(オゾン療法Ⅳ/Ⅷ)

 

 

【2016.8.26(15日目)】体重:5.4kg

消失していたCP反応も左後肢のみ遅延がみられたが、歩行状態もさらに改善(時々つまづく)した。

 

<処置>

オゾンガス注腸(2回目)(オゾン療法Ⅴ/Ⅷ)

内服薬(4日分):プレドニン2.5mg(1日1回) (ステロイドを減量)、ビタミン剤を中止、アンチノール(サプリメント)追加

 

 

【2016.8.30(19日目)】体重:5.7kg

食べている量に比べ排便量が少なく、排便しない日もあるのが気になるとの事であった。

 

<処置>

オゾンガス注腸(3回目)(オゾン療法Ⅵ/Ⅷ)

 

 

【2016.9.2(22日目)】

<処置>

オゾンガス注腸(4回目)(オゾン療法Ⅶ/Ⅷ)

内服薬(4回分):プレドニン2.5mg(1日おき)→以降終了

 

 

【2016.9.6(26日目)】体重;5.6kg

<処置>

オゾンガス注腸(5回目)(オゾン療法Ⅶ/Ⅷ)

 

 

【2016.9.13(33日目)】体重:5.75kg

<処置>

オゾンガス注腸(6回目)(オゾン療法Ⅷ/Ⅷ)

経過良好につき週1回のオゾン療法とアンチノールの継続を指示した。

 

 

治療経過①参照)

 

 

【2016.9.24(44日目)】

トリミングで来院。カット時も起立可能であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トリミング後の写真です☆

 

 

【2016.10.4(54日目)】

<処置>

オゾンガス注腸

 

【2016.10.18(68日目)】

<処置>

オゾンガス注腸

 

 

以降、定期的なオゾンガス注腸とアンチノールの継続を指示したが、一般状態良好につき、治療を休止し、経過観察を希望された。

 

治療開始約11か月後、ワクチン接種の、さらにその4か月後フィラリア検査時も一般状態良好で血液検査においても問題なく、経過観察していた。

 

再発!!

オゾン療法を休止して約1年経過後、前回と同様の症状が認められ、疼痛、食欲低下を伴う起立不能で、きばっていないのに尿、便が漏れるとの事で来院。

 

専門病院の受診を勧めたが、オゾン療法を希望ということで以下の手順(治療経過②参照)で内科治療・オゾン療法を実施した。

 

【治療初日】

消炎鎮痛剤(非ステロイド系)を使用したところ、疼痛緩和され、翌日には元気・食欲は出現したが、全く力が入らないので、前回と同様にオゾン療法とステロイド、ビタミン剤投与を実施した。

 

【治療4日目】

起立補助してあげると、左後肢を引きずりながらも歩行可能だがすぐに転倒し、自力で排尿できない状況であった。

今回より従来治療に加えエラスポールの注射も9日間併用した。

 

【治療8日目】

排尿の制御が可能となり、尻尾はかろうじて左右に振れるが、立ち上がるのにかなり苦労するとの事であった。

 

【治療12日目】

自力での起立、歩行が比較的容易となり、尿漏れもなくなった。

 

【治療15日目】

鳴いたときに腹圧がかかり、便が出てしまうことがあるが、尿漏れもなく、歩行も比較的順調に回復傾向と思われた。

 

【治療19日目】

ちんちんする様子もみられるとの事であった。

 

【治療26日目】

問題なく、起立・歩行はできるが、走ると尻もちをついてしまうことがあるとの事であった。

 

【治療34日目】

CP反応もほぼ正常に回復していたが、喜んで走ると足がついていかないのか、つまずく事が見受けられるとの事であった。

 

 

 

今回はオゾン療法を8回で終了し、経過観察しながら現在(2018.9.25:再発より10ヵ月目)に到っています。

 

 

 

 

 

先日もトリミングに来てくれました♡いつも元気いっぱいんのゴン太くんです!!

 

 

 

治療経過①

日数

ステロイド

ビタミンB1・B12等

サプリメント

オゾン

皮下注射

注腸

1

注射

注射

 

 

2

内服

プレドニン

5mg

1日1回

内服

ノイロビタン

2錠

1日2回

   
 

 

6

 〇  
     

9

 
     

12

 

     

14

 

15

   

16

   

17

プレドニン

2.5mg

1日1回

 

アンチノール

   

18

 

19

   
   

22

   

23

   

24

プレドニン

2.5mg

1日おき

   

25

 

     
     

32

 

         

37

 

     

51

 

     
     

65

 

 

 

治療経過②

日数

消炎

鎮痛

剤(非ステロイド)

ステロイド

ビタミンB1・B12等

エラスポール

オゾン

皮下注射

注腸

1

注射

 

注射

     

2

 

内服

プレドニン

5mg

1日

1回

内服

ノイロビタン

2錠

1日

2回

 

3

   

4

自宅

注射

1日

1回

 

     

8

   
 

内服

プレドニン

2.5mg

1日

1回

   

12

   
       

15

   
 

内服

ノイロビタン

1錠

1日

2回

   

19

   
 

内服

プレドニン

1.25mg

1日

1回

   
     
     
     

26

   
 

内服

プレドニン

1.25mg

1日

おき

   
     

34

 

       

36

   
       
     

44

 

     

 

 

武藤ペットクリニック

院長:武藤 具弘